欲の皮
日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏が日本に着くなり逮捕されたのにはびっくり。BBCやCNNでも何度も報道している。収入額を有価証券報告書というものに記載する義務があったのだという。脱税ではないとテレビは言っていた。わたしの頭じゃあ、それもなんか変だと思うが。
ま、ともかく、50億円過少に記載していたよし。
西洋人と十把一絡げに言っちゃあいけないだろうが、2008年のリーマンショックに続く金融危機で、アメリカ政府が大手銀行などに$700ビリオンのベイルアウトマネーを出して救援したのに、複数の銀行ではその金の一部で重役連中にボーナスを払ったことを思い出させた。
それを知った我々庶民は怒りのあまり、頭から血が噴出しそうだった。あのあと、ローンが返せなくなって家をとられた「普通の人たち」がどれほどいたことか。自殺者も少なくなかった。聞くも涙の話がたくさんニュースに出た。
銀行家とは、いかに、庶民の感覚から外れた「常識」の持ち主たちか。ボーナスを受け取った側の厚かましい神経。
ゴーン氏の感覚からすれば、世界の企業トップ達の報酬にくらべたら自分は少ないと思ったのかも知れない。しかし、報道によると日産から毎年数億から10億の報酬をもらっていた。ブラジル、パリ、オランダなどに自分の家として使っていた住まいも会社に買わせたり管理させていたという。はや60代、悠々自適で引退し、遊んで暮らせるところを犯罪者として起訴される事態になってしまった。
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わたしは幸いにしてというべきか、残念なことにというべきか、数億のお金を持ったことがないが、最近どこかでアメリカ人が言っていた。(有名な人だが、誰だったか失念。最近は失念することが多くて閉口する。) ある程度以上のお金は、人間は必要ないのだと。彼もお金持ちで、いろんなやりたいことをやったという。今はもうそれ以上やりたいことが思いつかないそうだ。事実だろうなと思った。
企業が生き残るために、時としてリストラもやむを得ないだろう。日産自動車という大企業に勤めて、真面目に仕事をしていれば定年までは家族を養っていける生活が保証されると思っていた人達の人生が軌道から外れたとき、その悔しさ、悲しさ、虚しさはいかばかりだったか。
先の大統領選挙で、民主党の大統領候補選でヒラリー・クリントンに敗れたバーニー・サンダースを社会主義者と決めつける人が多いが、彼が最近言った。重役報酬は、その会社の中堅社員の年収の15倍を限度とするべきだ。
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このニュースでもう一つ驚いたのは、日本では司法取引が認められるようになったのが今年の6月だそうだ。
それでおもしろい小説が出ないのかなと思った。(笑)
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