完璧な筋書き/クイックンローンズ・ナショナル優勝者
2ラウンドだったろうか、3ラウンドだったろうか、ビリー・ハーリー三世のアイアンショットを見ていて、今週はひょっとしたら彼が勝つかもしれないなと思った。「ひょっとしたら」がつくのは、34歳の今まで彼がツァー未勝利だったからだろう。
派手さがないプレーヤー、未勝利にしてはゴルフファンに名前が知られているのは、その変わった経歴が度々テレビで紹介されたゆえと思う。ゴルフは高校時代からバージニア州のトップ選手だった。卒業後ネービー・アカデミーに入学(日本語でいうなら海軍大学か)。大学ゴルフでも活躍、アマチュアランク6位までいった。
大学卒業後、2009年まで海軍に勤め、ペルシャ湾その他にも従軍。プロ転向後は下部ツァーとPGAツァーを行ったりきたりしていた。今週のこの試合も、スポンサーの招待選手で出場。
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この試合は、タイガーがホスト、軍従事者を称える主旨で、スタートホールではネイビーの兵士が選手紹介している。
最終日になってもハーリーは堅実ゴルフが崩れなかった。2打差でスタートのアーニー・エルスが追いつくかにみえたが10番パー3でティーショットを池ポチャしてアウト。
バック9中盤に、ハーリーが15アンダーで、プロ転向後初試合のジョン・ローム14アンダー、ビージェイ・シンとビル・ハス13アンダーに迫られている時、13番をパーセーブパットを入れてしのいだ。
優勝後の記者会見で、「12番で3パットにしたから今度は3パットにすまいと思った。パーパットを入れて、これでまだ1打リードしているぞと思った」というから、ツァー初優勝がかかっていても存外冷静というか、勝つ時というのは自分のゴルフに自信があるのだろう。
そして15番の劇的なチップインバーディ。
「(カップインしたのは)ショックだった、これほどコースで感情を出したのは初めてだ」「気を静め、プレーを続けねばならなかった。次のホール、16番のティーショットを打つのはその意味で難しかったがフェアウェイキープした。」(と少し誇らしげな顔をして言っていたのが印象的だった)
その16番で27フィート(8m)のパットを入れて、勝負あったりの様相。
クイックローンズ・ナショナルをなぜワシントンDC近くのコースで開催しているか、それはアメリカ軍従事者達の支援のためであり、毎年現役の軍従事者には無料で入場券を配布している。
その元軍従事者が優勝したのだから、本人といいホストのタイガーといいパーフェクトの試合になった。
53歳のビージェイ・シンが65で猛追したが、届かなかった。またアーニー・エルスも良いゴルフをして、ファンをわかせた。
ほとんどふてぶてしいほどのルーキー、ジョン・ローム。バックスイングが非常に短い癖のあるスイング。まだまだ荒削りの感じを受けるものの、彼は久々にこれは大物になるかもと思わせるプレーヤー。わたしはすでに気に入っている。(笑)
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タイガーは試合復帰は無理のようだが、試合前の記者会見でも明るかったし、ツァー復帰の強い意思は感じられたので嬉しい。最終日は子供達を連れて、ホスト役をこなしていた。
10番ティーグラウンドでビリー・ハーリーと握手していたので、これはその前後に撮った写真と思う。タイガーはよく子供達と過ごし良いパパのようです。
ビリー・ハーリー一家。ハーリーは幾つかのチャリティー活動をしていて、その一つがエチオピアの子供をアメリカで養子にしようというもの。黒人の子は、養子ジェイコブ君。今はチャンピョンズツァーでプレーしてる、カート・トリプレットも同じような活動をし、やはり養子にしていた。
この試合の戦績により、ハーリーはもちろん、3位タイのジョン・ローム、7位のハロルド・バーナー三世が全英オープン出場権を取得。
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