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身近で起こったUCLAスクールシューティング(銃撃)

「スクールシューティング」は、学校に銃撃者が入り無差別に銃撃することをいうが、ひとまず何が起こったかを書きます。

うちの孫が通うミドルスクール(6年生から8年生まで。8年生は年齢でいうと日本の中学2年生)は、UCLAと近く、いろいろなことで同大学と提携している。8年生はもうすぐミドルスクール卒業ということで、卒業前のイベントがたくさんあり、子供達には楽しい忙しさ。

先週の金曜日は、そのUCLAのレクレーションセンターという場所で、屋外プールで泳いだりテニスをしたり、ランチやオヤツが出て学校の授業時間中に1日遊ぶ「グラド・デイ」(卒業生の日)だった。

生徒120人、先生4人、世話係りのボランティアの親6人ほどに、UCLAレクレーションセンターの職員らがつく。朝8時半に学校を出て徒歩でUCLAに行ったのだから、9時前には着いたろう。

うちの娘は学校の役員で、何か食べ物を持っていき、ランチの時間に手伝う予定だった。道に迷い(何しろUCLAは広大なキャンパス)、ようやく着いたのが9時50分ぐらいだったろうと言う。

それから10分かそこらで、学校側から「ロックダウン」の無線がレクレーションセンターの職員に入る。ロックダウンLockdownというのは、既に建物内の人はそのまま、屋外にいる人は最も近い建物に入り、人の出入りを禁止される。命令と変わりない。

先生と親に、大学内で銃撃があり、アクティブ・シューター(active shooter)がいると知らされた。アクティブ・シューターとは、まだ銃撃者が警察に確保・逮捕されていないということ。レクレーションセンターには大きな部屋があり(想像するに体育館の小さい版というところか)、父兄と先生達は大急ぎで生徒を室内へ入れた。外に学校のバックパックを置いている子はそのまま置き、プールに入っていた子は水をしたたらせながら裸足で駆け込んだ。体育教師が唯一の男性だったが、建物内のトイレを走り回って、子供がいないか確認したそうだ。

悲しいことにアメリカでは特に近年スクールシューティングが多く、先生達はよくその訓練を受けているらしい。

まず、家具(机・椅子など)を窓や壁際に寄せ、部屋の中央をあけておく。窓から遠いところに、子供達を座らせる。

その建物は、体育館などに見られる頑丈な両開きドアが4箇所あったそうだが、2箇所を閉じ(ベルトや衣類などで縛る)、2箇所は銃撃者が入ったとき時に逃げられるように縛らなかったそうだ。一人のお母さんは1つのドアを背に両腕を組んで仁王立ち、ロックダウンの2時間半立ちっぱなしで子供達に向いていたという。(娘が想像するに、何らかの警察関係の職だろういう)

もう一人のお母さんは(娘の仲が良い友達)、もう1つのドアに向けて座り、左右に消火器を置き、銃撃者が入ってきたら差し止めるつもり。(光景を想像すると笑えるが、子供達の命を守るその心や涙が出るではないか)

家具を寄せ、子供達を座らせたあと、体育教師が子供達に初めて、大学内で銃撃があったこと、出ていいと許可があるまで、ここで待っていることを教える。

「すでにテレビのニュースに出ているだろう。親に自分は無事だ、安全に隠れているからと電話しなさい。電話は一度だけだ。写真を撮って友達に送ったりは許さない。」

屋外に置いたバックバックに電話を入れたままの子も多かったので、電話を持っている子が貸してやってみな親に電話したそうである。

銃撃が起こったのが10時頃と思う。わたしが事件を知ったのが11時過ぎ。ゴルフ中継を見ていたが、テレビブース内の話が長くなったときにニュースのチャンネルに変えて分かった。

こんな時はスマートファンに感謝だ。

「テレビのニュースでスクールシューティングがあったと言ってる、あんた、まだUCLAにいるの?」

「いるよ。ロックダウンでみんな建物の中にいる。」

それから、一番速くニュースを伝えていると思われる地元チャンネルに変え、ニュースで伝えることを刻一刻と娘にテキストで送る。

現地警察の陣をとっている人の短い記者会見、もう1度記者会見がある。2回目の記者会見の時、記者の一人が「マーダー、スーイサイドではないのか(殺したあと自殺する)」と聞く。「まだ分からない」と答えたとき、あらっと思った。その時は、既に分かっていたが全てが安全と確認できるまで、答えなかったのだと思う。

娘も「マーダー、スーイサイドじゃないの?」とテキストで聞いてくる。

テレビの画面は、銃撃があった数工学部の建物から学生らしいのか1人、2人と手を挙げて出て来るのが写る。(犯人ではなく、避難してきた人達)

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(テレビ画面をスマートファンで撮ったもの。右に時刻が出ています)

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そのうち、大勢の警察が出て来る。制服が違うから、いろいろな部署や管轄だろう。ニュースのアナウンサーが、「出て来る警察官たちの表情が厳しくない、談笑している人もいる。拳銃も抜いていないし。これはひょっとして解決したのでは?」と言う。

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ほどなくLAPD署長の記者会見で、「銃撃者は一人を殺し、自殺した」と発表。

Uclashooting4_6_1_2016

(画面の正面で撮っていなくてすみません)

これは大勢がいる場所で銃撃があった場合の、警察のレギュレーションであるから仕方がないが、学内にいた学生その他はこのように一応ボディーチェックを受けてから解放される。

孫らミドルスクールの子供達が出されたのは12時半ごろだったそうだ。帰りも徒歩で学校に戻る予定だったが、LAUSD(ロスアンゼルス学校区)が急遽スクールバスを手配してくれ、バスで帰校したそう。

これはミドルスクール側がUCLAにお金を払って開催したイベントで、この事件でUCLAは陳謝、今日月曜日にもう一度やり直してくれることになり、うちの孫を含めほとんどの子は喜んで出かけたというから、何とも銃社会に慣れているというか、呆れてしまった。

実質は不特定多数を銃撃するスクールシューティングではなく、(根拠のない)個人的恨みで相手を撃った殺人事件。

以前UCLAでPhDを取得した男が、精神がおかしかったらしく、住んでいたミネソタ州で別居中の妻を撃ち殺し、車をノンストップで運転しミネソタからロスアンゼルスへ来て、昔住んでいたカルバー・シティーという街に車をとめ、その足でバスに乗ってUCLAに来て、教授を射殺してその場で自殺したというもの。

殺されいた妻が発見されたいきさつがまたクレージー。自殺した彼の持ち物から、「家に猫がいるから誰か面倒をみてほしい」というメモが見つかった。それによって、ミネソタ州の彼のアパートに行ってみると、「殺人リスト」として、妻とUCLAの二人の教授の名前があった。妻の住所には何箇所も撃たれた、死亡後数日は経っているとみられる遺体があった。UCLAのもう一人の教授はその日学内にいなかったので難を免れた。

ロックダウンで、建物に隠れている間、娘は、サンデーロックのスクールシューティング(20人の子供と6人の先生や職員が殺された)を思い出さずにはいられなかったという。

同時に、今の学校の先生がどれほど訓練されているか、どれほど子供達の命を守ることを最優先にしているかがわかって、感謝しても感謝したりない気持ちだったそうだ。

わたしも犯人は死んだというLAPD署長の発表があるまで心臓がぴくぴくした。しかし、幸い娘が孫と一緒にいたので、どんな状況になっても母親がいて守れなかったら、その時は運だろうと思った。

あとで思うに、むしろ娘達は運が良かったのだ。これが特定の相手を狙った殺人事件ではなく、スクールシューティングだったら、どうなっていたかわからない。レクレーションセンターは、キャンパスでも北の奥で、ほかの校舎からかなり遠いし、誰もが簡単に入られる構造にはなっていないので、リスクは低かったろうが、なかったとは言いきれまい。

このことはここに書くか迷ったが、もし誰かがこういった事件に遭遇した場合、少しでも役に立つことがあったらと思いなおして書きました。

アメリカでは、こういう銃撃にあった場合、どうするのが少しでも生きる確率が高いかという研究があって、銃撃者が向ってきたとき、椅子などの後ろに隠れたり、親が我が子の体をおおったりしますが、走ってその場を逃げるほうが、助かる確率は上と言われます。

キチガイに刃物ならぬ、キチガイに銃で、その銃を取り締まる気が毛頭ないのだからアメリカ人のメンタリティーにも救い難いものがある。いまだにウェスタンの時代のつもりなのだ。シェリフは何百マイルも離れた街にしかいない時代には、そりゃ自分のことは自分で守らなければならなかったと思いますが。

何しろドナルド・トランプを大統領にと真剣に考える人達が大勢いるのだから、馬鹿は死ななきゃ治らない?think


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コメント

メリーさん

すごい経験されましたね  これが自分だったらと考えてゾッとしました
アメリカに住んでいる以上、まったく他人事とは思えないので真剣に考えてしまいました
もしこれが自分の娘の学校で起きて、自分がそこにいたら、これほど落ち着いて
行動出来たか?すごく疑わしいです (まず、間違いなくテンパってます)
こちらはロスほどではないにせよ、無きにしも非ず・・ですもんね
しかし、ほんとアメリカの銃社会(銃に対する意識)には、呆れてしまいます
貴重な情報ありがとうございました

すかんくさん

あれは殺そうと計画した相手が大学教授だったということで学校が舞台になりましたが、元職場への恨みで無差別に銃撃する事件もあるし、今度の犯人も巻きぞえにたくさん殺そうと思ったら出来たことでした。
すかんくさんの娘さんの学校の先生や校長先生もきっと訓練を受けていると思いますよ。
孫が小学校の時、ロックダウンの訓練もあったと記憶しています。火災訓練や地震訓練みたいなものですね。おそろしい。
ああいう事件があると、わたしも銃を買わなくちゃという発想をするのがアメリカ人ですから、言葉がありません。

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